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作品一覧

 「カラーイラスト表紙版」と「モノクロ・シンプル表紙版」の二種類を用意しております。
が、表紙の仕様と値段が異なるだけで、内容に差はありません。
お好みのほうをお選びくださいませ。

 近世の中央アジア~東欧あたりを模した世界観を持つ、架空の世界「シアルン神国」。歴代最悪の女帝とも呼ばれたシェリラの崩御を機に巻き起こる皇位継承の混乱の裏側で、幾つもの思惑が交錯する。

 皇位の座を巡って巻き起こる、シアル王家内の混乱。水面下で続く、保守的な貴族と改革を進めたい現政権の睨み合い。宰相である父と、王家を離脱した娘の確執。多くの謎を残したまま、忘れられていく殺人事件。神術という不可思議な力。砂漠に在りし王都の自由な民と、豊かな山に住まう偏狭な民の対立。そして山に眠る「神代の戦記」と、歴史に忘れられた「オブリルトレの女王」という存在。

 ……これらは「神ノ禍」という物語を構成する要素ですが、しかし、これらは本当に「この物語の本筋」なのでしょうか?

 さて。この文面を見ている“あなた”は、どう思われますか?

①箱庭の序幕

「そんな単純なことも分からねぇのか?」

 悪魔憑きの子を狩る祭り。そこから全てが、始まった……――。
 炎の女神《業火》の祝福を受け、〈炎ノ聖獣使い〉となってしまったフリアは、来訪した使者によってひとり王都へと連れて行かれる。
 突然の事態に戸惑う彼女をそこで待ち受けていたのは、変人の巣窟こと近衛兵団〈神護ノ十剣〉の隊員たちと、他の〈聖獣使い〉たちだった……―?
 個性豊かな人物たちに翻弄される彼女を余所に、裏で物語は動く。官民の全てを巻き込む、古の神話の再現劇は静かに胎動を始めていた。
 世界は一体どこへ向かうのか。それは誰にも、予測できない。

②疑惑の錯綜

「過去無き世界に、未来はない」

 母となったフリアは、息子ルドウィルを連れて十五年振りに生まれ故郷サイラン自治領へと帰郷する。そして時を同じくして王都ブルサヌでは、一つの悲劇が起きていた。
 その事件を機に明るみに出たのは、長らくサラネムに封印されていた、二つの王家の確執の記録「暮ノ戦記」。その一部が公にされたことにより、王宮の内外では不穏な動きが広まり、嵐が訪れる兆しを見せていた。
 そんな中、成長したルドウィルは「暮ノ戦記」を読み解く。その中に描かれていたものに、彼は戦慄した。
 そして訪れる《光帝》継承の儀。舞台の上に立つのは二人の偶像。彼女らが描き出す未来は、一体……――?

③源泉の回顧

「すっとぼけても私には通用しませんよ」

 オブリルトレの女王は潰えた。人質に取られた妹イゼルナを守るため、皇位簒奪者を演じるリストリアンスは魔の手に落ち、反セィダルヤード派であるシエングランゲラと諸侯らに身も心も支配されていく。
 そしてリストリアンスが発令したのは宣戦布告。山ノ民と、《神託ノ地》で相見えよう。その一言からシアルン神国は揺らぎを見せ始める。
 ――その混乱の中でクルスムは、ただ真実を追い求めてひた走る。表も裏も、今も過去も、人も神も、嘘も真も、夢も現も。その断片を知り得たクルスムに、全てを知る者たちは問う。協力してくれないか、と。 真実を掴んだクルスムが選ぶ未来とは?

④白への融解

「オレは、オレはそんなの嫌だよ!」

 宵の明星は落ち、明けの明星は昇る。だがどちらも同じ“星”であることに、変わりはない。
 山の軍勢と、シエングランゲラ率いる神国軍が《神託ノ地》で相見える刻。赤い瞳の悪魔の嗤い声を皮切りに、獣たちは咆哮を上げ、十の武神は戦地に踊り、紅い竜巻は巻き起こる。
 だが一人、ルドウィルだけは銀輪の筆記者に導かれ、オブリルトレでもシアルでもない、別の“何か”を見ていた。
 《神託ノ地》。そこでは神話も神格も裏切られ、果てには人の全ても裏切られる。
 二つの軍勢がぶつかり合うその先に、何が残るのか。それは“神”だけが、知っている。