The Introduction

神も人も運命も
その全てを覆せ!

試し読み

 ……ってな感じで幕を開けるのが、「神ノ禍」という物語です。

 物語は、近世の中央アジアに似た異世界「シアルン神国」を舞台に、
 歴代最悪とも評された暴君シェリラの崩御によって「皇帝《光帝(シサカ)》の座を巡る後継者争い」が起こる瞬間から始まります。

 未熟で性格に難がある正統後継者シェリアラか、政ノ大臣の娘とされている幼子シエングランゲラか……――
 そんな後継者議論で政情が荒れるその裏側では、全く別の「未来」を迎えるべく暗躍する者たちが居た、という物語。

 シアル王家の内情に呆れ、体制を作り変えるべく動くセィダルヤード卿。
 セィダルヤード卿に立場を追われ、彼を憎む諸侯たち。
 セィダルヤード卿の思惑に振り回される〈聖獣使い(シラン・サーガ)〉と、近衛兵団〈神護ノ十剣(トウィンガル・ラン・アルダン)〉たち。
 俗世の者たちとは全く別の方向を見ている最高司祭〈大神術師(アル・シャ・ガ)〉。
 怪しい行動を繰り返す「神国の猟犬」パヴァル。

 彼らによって物語は掻きまわされ、そして変容していきます。

 やがて成長したシエングランゲラは父親に反旗を翻し、
 物語は大きな転換点を迎えることに……。

 訪れた混乱と闘争の先に、残るものは何なのか。
 それは“神”にすらも、予測できない。

Faction

派閥など

群像劇ゆえ、登場人物が多いというのが「神ノ禍」の特徴です。
そんな物語を理解するうえで、派閥や所属を知っておくと便利かもしれません。

王制

 真っ当な政治をモットーに、旧時代の負の遺産を妥当しようと働いている現政権のこと。通称、セィダルヤード体制。
 政ノ大臣セィダルヤード卿を軸に、資ノ大臣エディス・ベジェンが回している。侍女長レグサ、ユライン家といった支持者がいる。

王制の闇

 セィダルヤード体制を支えるべく、主に「裏社会」の統制もしくは“掃除”を担うパヴァルのこと。主に彼ひとりで任務遂行にあたっているため、彼には休む暇がない。
 偶に、パヴァルの養女であるエレイヌも彼の仕事を手伝う。

〈神護ノ十剣〉

 要人警護を主に担う、政ノ大臣直属の組織。幾つかの特権と生活の保障を、王制から与えられている。
 「上官の命令は絶対」という暗黙の了解があるため、どいつもこいつも上官であるパヴァルに振り回されている。

〈聖獣使い〉と〈聖獣〉

 火と水、風雷の三名および三体がこれに該当する。女神に使える理性を持つとされる獣と、女神から選ばれたとされている人間のこと。
 《光帝》継承ノ儀の際には〈聖獣使い〉全員の列席が求められるため、当代の〈聖獣使い〉は王都へと予め徴集された。

〈大神術師〉

 皇帝《光帝》を凌ぐ権能を持つとされる最高司祭のこと。当代はフワフワとした言動が多い、童顔で年齢不詳の男である。
 何にも靡かず中立であるべき立場とされているが、当代はセィダルヤード体制に肩入れしている様子。だが、彼の本当の目的は……?

シアル王家

 近親相姦によってその血筋を保ってきた王家。前代は身体障碍のある者が多かったが、今代は知能に少しの遅れが見られるシェリアラを除き、健康体の者が多い傾向にある。
 本家、第一分家、第二分家の三家で構成されている。

山ノ民

 サラネム山岳地帯に住む部族の総称。麓のラムレイルグ族、山奥のシャグライ族のふたつが存在している。神代の因縁から、王都およびシアル王家を憎んでいる者が多い。
 しかし最近は融和が少しずつだが進められている模様。穏健派も増えつつある。

オブリルトレ家

 太古の昔、サラネム一帯を支配していたオブリルトレ王家。その末裔がシャグライ族のオブリルトレ家である。
 オブリルトレ家には滅多に女が産まれず、また産まれてきた際には大きな呪いと力を背負って出てくるとされている。

諸侯たち

 第三巻から暴れ始める者たち。セィダルヤード卿の台頭によって勢力を削がれたこともあり、王制への不満が溜まっている
 シエングランゲラと結託し、神国軍を乗っ取って戦争を焚き付け、セィダルヤード体制の打倒を目指し、画策する。

???

 定期的に介入しつつも、物語を見守る存在。
 はてさて、その正体は?

Series

①箱庭の序幕

「そんな単純なことも分からねぇのか?」

悪魔憑きの子を狩る祭り。そこから全てが、始まった――。炎の女神《業火》の祝福を受け〈炎ノ聖獣使い〉となってしまったフリアは、来訪した使者によってひとり王都へと連れて行かれる。突然の事態に戸惑う彼女をそこで待ち受けていたのは、変人の巣窟こと近衛兵団〈神護ノ十剣〉の隊員たちと他の〈聖獣使い〉だった……?

②疑惑の錯綜

「過去無き世界に、未来はない」

フリアは、息子ルドウィルを連れて十五年振りに故郷サイラン自治領へと帰郷する。時を同じくして王都では、一つの悲劇が起きていた。事件を機に明るみに出たのは、長らくサラネムに封印されていた二つの王家の確執の記録。その一部が公にされたことにより、王宮の内外では不穏な動きが広まり、嵐が訪れる兆しを見せていた。

③源泉の回顧

「すっとぼけても私には通用しませんよ」

オブリルトレの女王は潰えた。そして人質に取られた妹イゼルナを守るため、皇位簒奪者を演じるリストリアンスは魔の手に落ち、反体制派であるシエングランゲラと諸侯らに身も心も支配されていく。リストリアンスが発令したのは宣戦布告。山ノ民と、《神託ノ地》で相見えよう。その一言からシアルン神国は揺らぎを見せ始める。

④白への融解

「オレは、オレはそんなの嫌だよ!」

宵の明星は落ち、明けの明星は昇る。だがどちらも同じ“星”であることに、変わりはない。山の軍勢と、神国軍が《神託ノ地》で相見える刻。赤い瞳の悪魔の嗤い声を皮切りに、獣たちは咆哮を上げ、紅い竜巻は巻き起こる。だが一人、ルドウィルだけは銀輪の筆記者に導かれ、オブリルトレでもシアルでも無い、別の“何か”を見ていた。

merchandise

 Boothにて、アクリルキーホルダーやポストカードといったグッズを販売中です。
 小説のほうは、一冊売れたところで作者の懐に入る額が2~3円ほど。
 なのでもしよろしければ、こういったグッズ(1個につき、200円ぐらいが利益となります)の追加購入で支援して頂ければ幸いです……。

ポストカード①フリア

第一巻の表紙絵、フリアとリシュ。そのポストカードです。十枚セット。

ポストカード②ディダン

第二巻の表紙絵、ディダンとリスタ、そしてユイン。そのポストカードです。十枚セット。

ポストカード③クルスム

第三巻の表紙絵、クルスムとウィク。そのポストカードです。十枚セット。

ポストカード④ルドウィル

最終巻の表紙絵、ルドウィルとベンス。そのポストカードです。十枚セット。

アクキー①リシュ

お狐リシュのアクリルキーホルダーです。

アクキー②シク

一角獣シクのアクリルキーホルダーです。

アクキー③ウィク

白獅子ウィクのアクリルキーホルダーです。

アクキー④メク

大烏?メクのアクリルキーホルダーです。

リシュの巾着袋

お狐リシュの巾着袋です。ちょうど小説がすっぽり収まるサイズとなっています。

聖獣コップ

サノンを除いた、聖獣たち4体がプリントされたグラスです。他にも、サーモタンブラーマグカップを出しています。

縁切りの呪符Tシャツ

架空の魔術体系「神術」由来のタリスマンをあしらったTシャツです。「剣によって邪悪な縁を絶ち、清々しい朝を迎える」という願いが込められています。