用語集
作中に登場する固有名詞などを、ざっくりと解説。
このページでは「日本語での表記」を軸に、五十音順で並べています。
作中で「固有名詞ルビ」が振られている単語は、ルビを基準として並べています。
架空言語「新シアル語」での表記は、日本語で書かれた見出しの下に記載しています。
あ行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
悪魔狩り
グレッソ・ソロナ。サイラン自治領の伝統行事。「銀色で紫色の悪魔」を見つけて、処刑する祭りとされている。
かつては砂漠に出ていたシャグライ族を誘拐し、祭りの中で嬲り殺しにしていたようだが。怯えたシャグライ族が山から下りてこなくなると、祭りは形態を変え、サイランで罪を犯した犯罪者を殺すものになり、最終的にはただの人形を火炙りにするだけの祭りとなった。
しかし、この祭りに異変が起こる。
風雷の女神《息吹》
アニェン。〈天界〉のリベロナに坐する存在。始まりの風の起源、風で大地を削り生命が住まえる地を拓き、時に風で種を希望を幸福を活気を運ぶ者。……要するに、風と変化を神格化させたものである。
自由気ままな性格であったとされている。好き放題に地上を駆け回っては、主神《秩序》が創った樹海を荒らして回り、砂漠を創ったらしい。
アルヴィヌ領
アルヴィヌ。「女神《霊水》の流した涙」という伝承を持つ巨大塩湖アルヴィヌ湖、その周辺地域の総称。裕福で強欲な商人たちが住まう「北アルヴィヌ」、塩湖と共存した逞しい者たちが競り合う「西アルヴィヌ」、戦争によって何度も焼け野原となってきた貧困地域「南アルヴィヌ」、侵入者を頑なに拒み続ける孤立地域「東アルヴィヌ」の4つの地方に区分されている。
かつてアルヴィヌ湖は淡水だったとされているが、「白金戦争」の際に敗れた女王の呪いを受けて塩湖となってしまったらしい。
アルヴィヌ訛り
アルヴァン・ウィキナ。アルヴィヌ領に住まう人々が使うアクセントの総称。「b, w, v」の音が「b」に統一されるという特徴がある。
「北アルヴィヌ訛り」は口を窄ませてもごもごと喋る、特に母音が明瞭でないアクセント。「西アルヴィヌ訛り」は大口で母音をクリアに発音する傾向にあり、早口でまくし立てるような喋りが多く、ややソロゥラム訛りに近い。「南アルヴィヌ訛り」は、間延びした母音とゆったりとした語り口が特徴の「南西アルヴィヌ訛り」と、子音変化の特徴以外は王都ブルサヌと同じアクセントを持つ「南東アルヴィヌ訛り」の二つに分かれている。
アルヴィヌ領民
アルヴァン。アルヴィヌ領に住まう人々の総称。
「北アルヴィヌ人」は打算的で美食家であり、特に男はあまり清潔でなく体臭がひどい。「西アルヴィヌ人」は議論好きで気が強く、やたらと値切り、また背が低く童顔が多い。「南アルヴィヌ人」は浅慮であり教養が無く、最も野蛮。――というようなステレオタイプがある。
「東アルヴィヌ人」は得体の知れない謎な存在であり、人々の興味関心を掻き立てているとか、なんとか。
神術
アル・シャ。祈りによって特定の事象を引き起こす、いわば魔法のようなもの。修行さえ積めば誰でも扱えるとされているが、しかし才能が無ければ「基礎」に辿り着くことすら困難だとされている。
呪符と呼ばれる図画の描かれた札を介して、神術を発動させる方法が一般的。貼るだけで結界術を発動させる呪符といった道具も存在している。
熟練の司祭や神術の才覚がある者は、道具を使わずともイメージのみで神術を発動させることもできる。
〈大神術師〉
アル・シャ・ガ。最高司祭のこと。全知の杖「竜王錫」の継承者で、主神《秩序》の化身とされている。数多の神術を自由に扱うことができ、伝承によると「存在する限り全ての神術を理解し、扱える存在」であるらしい。
〈大神術師〉となる人物は、淡い青色の髪と赤紫色の瞳という身体的特徴を持って生まれてくる。また〈大神術師〉という役職を継いだ時点で人間としての名前は捨てられ、以後は単に〈大神術師〉と呼ばれるようになる。
〈天界〉
アルラウン。遥か天上にあるとされる、女神たちの住まう楽園。地上の動物たちの中で、悪行を働かなかったものは、死後にその楽園へ行けるとされている。
要するに、死後の世界のこと。
主神《秩序》
ウカル。混沌の闇を割り、天と大地を分かち、〈下界〉を拓いた創造神。
気難しい性格であったとされていて、また完璧主義でもあったらしい。出来の悪い人間に幾度となく不満を覚えており、この人間を一掃するために何度か世界を創り直しているそうだ。
現在の世界は、炎の女神《業火》が主神《秩序》を説得し、天地再創を押しとどめることによって保たれているらしい。
か行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
古シアル文字
ガ・フォリ。神祖《光帝》が「新シアル文字」を創り出すよりも以前に使われていた文字のこと。現在では、サラネム山でのみ使われている。
「蛇が這うように、ぐにょぐにょと歪んだ文字」と言われている。視認性が悪く、この文字が一般的に使われていた時代は識字率が低かったとのこと。現在もこの文字が使われているサラネム山においても、識字率の問題は依然として抱えている。
カルッグ
北アルヴィヌ地域に自生する小低木のこと、またはそれから作られる香油のこと。
紫色の花と、甘く爽やかな香りを持つ揮発性の油が特徴。その薫りは安眠に効果があるとして、広く神国民に愛されている。
しかし王都の風俗街シャレーイナグラでは、怪しい方面で重用されているとかで……?
五大女神
グ・ラ・ウェリアル。光明と支配の女神《光帝》、宵闇と快楽の女神《幻影》、炎と技巧の女神《業火》、水と慈悲の女神《霊水》、風雷と変遷の女神《息吹》の五柱の女神を合わせた総称。
ここに主神《秩序》を混ぜた「六大女神」のパターンも存在するが、しかしこちらはあまりメジャーな表現ではない。
貴族
領地と領民を保有している者、および家のこと。大領主の場合は「諸侯」と呼ばれ、そこまで領地が広くない場合は単に「貴族」と呼ばれる。
「白金戦争」の際にシアル王家に与し、シアル王家から領地を与えられた者たちは「ブルサヌ三大名門」と呼ばれていて、貴族の中でも別格の扱いとなっている。それ以外の貴族の殆どは、事業などで成功する、もしくは侵略行為を繰り返して、土地を増やしていったパターンである。
ギャランハルダ
王都ブルサヌ、繁華街カレッサゴッレンにある、エレイヌが営む酒場のこと。名物店主であるエレイヌを見たさに足を運ぶ荒くれ者や、「ここに来れば独眼の水龍パヴァル・セルダッドに会える」という噂を聞いてやってくる剣客や吟遊詩人など、物騒な者たちが集まることで有名。
店の名前であるギャランハルダは「荒れ野の希望」という意味を持つ。
卿
セダ、もしくはセ。貴族や王家の男性、または王宮に出入りする平民出身の者の名を呼ぶ際に使われる敬称のこと。尚、日本語ではどちらも「卿」で統一して表記している。
貴族や王家の男性に使われる敬称は「セダ」であり、貴族の場合は「セダ・ユライン(ユライン卿)」のように、姓に敬称を付けて使われる。王族の場合は「セダ・セィダルヤード」のように、名前に敬称が付けられる。
〈神護ノ十剣〉の隊員や、神国軍の平民出身の幹部などに使われる敬称は「セ」であり、こちらは男女問わず使われている。また「セ」敬称の場合は、姓でなく名に敬称を付けなければならないというルールがある。「セ・リノス」や「セ・ケリス」といったように使われる。
さ行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
サイラン自治領
北西部にある火山地帯、およびその麓にある平原地域のこと。サシレヌヤ火山による地熱、そして鉄鋼資源に恵まれたことから、鋳鉄技術が芽吹いた。また隣接する大河からの水産物にも恵まれている。農耕もぼちぼち行われていて、食物に困ったことがない恵まれた地域。
シアル王家の支配を受けることなく、またアルヴィヌ領のように横柄な貴族が幅を利かせることもない、独立した存在。民主制による自治を採用している。失脚した貴族や王族が、たびたびサイラン自治領に逃げ込んだりもしているとか。
サイラン領民
サシラン。サイラン自治領に住まう住民のこと。温厚で真面目、かつ他地域に興味が無く、唐辛子が大好きで、《光帝》よりも《業火》のほうを信奉している、というようなステレオタイプがある。
保守的で拘りの強い者が多く、大らかで自由で大胆な者が多い王都民とは相容れないことが多い。
ラムレイルグ族とは同祖関係にあるとされているが、かといって何か特別な関係にあるわけでもない。サイラン自治領とサラネム山は距離が近い反面、サイラン領民と山ノ民の間にはある一定の距離がある。
山ノ民
サラネム山岳地帯に住む部族の総称。麓のラムレイルグ族、山奥のシャグライ族のふたつが存在している。神代の因縁から、王都およびシアル王家を憎んでいる者が多い。
しかし最近は融和が少しずつだが進められている模様。穏健派も増えつつある。
サラネム山岳地帯
北部にある山岳地帯。豊かな自然に囲まれており、山に生息する動植物たちと人間が共存している。噂によると「人の域」「犬の域」「獅子の域」の三つに区画が分けられているらしい。
新シアル文字でなく古シアル文字を筆記に用いたり、クセの強い発音であったりと、その他の地域とは異なった文化を継承している。
「伝承の根付く里」とも呼ばれており、王都では失われている歴史の記録がサラネムには遺されていたりと、貴重な資料の宝庫としても知られている。
シアル王家
近親相姦によってその血筋を保ってきた王家。前代は身体障碍のある者が多かったが、今代は知能に少しの遅れが見られるシェリアラを除き、健康体の者が多い傾向にある。
本家、第一分家、第二分家の三家で構成されている。
新シアル文字
ジェ・フォリ。神祖《光帝》によって定義された文字で、「誰もが簡単に読み取ることができる、個々人が持つ“クセ”に影響されない形」とされている。文字を手書きする際には、定規を使用することが好まれる。
読み解きやすさから識字率の向上に貢献し、活版の作りやすさから活版印刷の発展に貢献した。
光明の女神《光帝》
シサカ。〈天界〉のルイメンに坐する存在。始まりの光の起源、暗い闇に世界が包まれた時に光を照らし、生命に希望をもたらしたとされる。またシアル王家の神祖、とも。……要するに、陽光を神格化させた存在で、シアル王家の始祖がおこがましくも勝手にこの名を拝借した、というわけである。
風の女神《息吹》が拓いた砂漠に降り立ち、そこにシアルン神国という国を開いた。
《光帝》
シサカ。シアル王家の家長となる人物に与えられる肩書のこと。女皇帝というニュアンスを持つ。
皇位を継ぐ条件は「シアル王家に誕生した女性であること」と「〈聖光ノ聖獣使い〉であり、〈聖光ノ紋章〉を濃くハッキリと保有する者」とされている。
この条件に乗っ取り、今までは問題も起こることなく皇位継承が行われてきたのだが。セィダルヤード卿の大改革が影響し、今代の継承においては問題が発生することに……。
四大臣
ロダウィトン・ガ。王制の要職である、文ノ大臣、武ノ大臣、資ノ大臣、法ノ大臣の総称。
文ノ大臣は文献の管理や学者の設立を、武ノ大臣は憲兵団や〈神護ノ十剣〉といった武力組織を、資ノ大臣は王制の財源や資材を、法ノ大臣は罪人の裁きを、それぞれ管轄している。
シャグライ族
長身痩躯、白い髪に紫色の瞳を持つ者が多い狩猟部族。サラネム山の奥、淡水の湖に隣接した風光明媚な場所に集落がある。
サラネム山の麓に住まうラムレイルグ族の他とは、関係をほぼ断っている状態。また選民思想のようなものを持っているきらいがあり、食料や外界の物資を分け与えてくれているうえに、山の門番という働きをしているラムレイルグ族にすらも蔑視を向けている。
そんな性格の者が多いため、外界の者からはひどく嫌われていた部族。メズン曰く、その高慢ちきな態度が「悪魔狩り」に代表されるような迫害に繋がっていたとか、なんとか。
ラムレイルグ族と同様に「自然に過度に人の手を加えることを嫌う」性質を持つため、凝った味付けの料理をしない。そのため、自然のままの素朴な味の料理を好む。
〈下界〉
シャンライア。地上に創られた、地を這う者たちの世界のこと。もしくはシアルン神国の別称。
要するに、現世であり、この世のこと。
諸侯
貴族の中でも、特に有力なものたちのこと。主に、北アルヴィヌ総督の「ソルレダイド家」、ブルサヌ三大名門である「ベルナファス家」「ユライン家」「ケルン家」のことを指している。セィダルヤード卿の台頭によって勢力を削がれたこともあり、王制への不満が溜まっている者もいる。
以前はこの中に、西アルヴィヌの「ドレインス家」も含まれていたが、没落を機に諸侯のうちに含まれなくなった。そしてかつてのドレインス家の座を現在は「ディセイラ家」が狙っている。
〈聖獣〉
シラン。火の狐リシュ、水の一角獣シク、風雷の獅子ウィク、この三体がこれに該当する。
女神に使える理性を持つとされる獣とされている獣たちのこと。
〈聖獣使い〉
シラン・サーガ。火のフリア・シャネム、水のスザン、風雷のクルスム・ルグの三名がこれに該当する。
女神から選ばれ、女神の遣いである獣たちを使役する顕現を与えられた人間とされている。
《光帝》継承ノ儀の際には〈聖獣使い〉全員の列席が求められるため、当代の〈聖獣使い〉は王都へと予め徴集された。
炎の女神《業火》
シレイヌ。〈天界〉のフェランドに坐する存在。始まりの炎の起源、夜の闇を照らす為に、主神《秩序》の反対を押しのけ、〈下界〉に自らが生み出した炎を授けたとされる。……要するに、火を神格化させたものである。
熱血で凝り性な性格であったとされている。人間に鉄鋼の加工技術を伝えては、うまく技術の再現ができない人間に不満を爆発させるような話が多い。サイラン自治領の守護女神であり、サイランの象徴である「サシレヌヤ火山」は女神《業火》の怒りから産まれたものだとされている。
武神ノ邪眼
ソグァル・ライ。シャグライ族、特にオブリルトレ王家に稀に表れる身体的特徴のこと。左右どちらかの眼球が黒く塗り潰される。基本的には女性に現れるものとされていて、特に「オブリルトレの女王」を拝命する者が持つ特徴だとも言われている。
その正体は、予見能力を持つ寄生生物。宿主に未来を見通す力と類まれなる神術の才能、それと驚異的な治癒力を付与する代わりに、精神を蝕んでいく。基本的には山の奥に住まう獣たちに寄生を繰り返して生きながらえているものなのだが、山奥に立ち入ることが多いシャグライ族が、稀にこれに寄生されるのだ。
烏の黒羽
ソズル・ソルラ。暗殺者や人攫い、密猟者や密売人といった、闇の中で暗躍する者たちの総称。彼らが「黒羽」と呼ばれる黒い羽織をまとっていることが多いことから、この名が誕生した。
あくまで「総称」であり、そのような名の巨大組織があるわけではない。組織というかたちを為して活動する者たちや、個人で活動している者たちも含めて、その全てを指している言葉である。
ソロゥラム族
牛や山羊、羊といった家畜を連れて、気性の荒い黒馬アルヴェンラガドと共に砂漠を駆ける騎馬遊牧民族で、通称「黒馬の狩人」。かつては《神託ノ地》の大砂漠で遊牧生活を送っていたのだが、北アルヴィヌの商人たちが広げた交易路によって自由に遊牧ができなくなり、時代と共に数を減らしていった。
北アルヴィヌに定住する道を選んだ者も居れば、砂漠を往来する隊商を襲う盗賊となった者も居て、逆に隊商を護衛する用心棒となった者も居たりと、ソロゥラム族のその後は様々である。
槍術や剣術など、武芸に長けている者が多いことで有名。ただし荒々しい性格の個人主義者が多く、決して飼いならせないその特徴から「砂漠の蛮族」と呼ばれており、特に北アルヴィヌの貴族から嫌われている。
赤イ目ノ子
ソロナ・ライ・ジェン。サイラン自治領の伝統行事「悪魔狩り」で、標的となる“悪魔”のこと。元々は、火で顔を照らしたときに目が赤く見えることがあるシャグライ族への蔑称だった。
時代と共に形を変えた祭りの中で、これは「赤い塗料を塗った小石を、目に見立てて飾った藁人形」へと変わっていったのだが。しかし、この祭りに異変が起きる。
た行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
独眼の水龍
トライエ・セ=ダクリャン、またはトライーエ・セク=ダクリャン。剣豪パヴァルの通り名。
彼が隻眼であること、そして彼が水の龍神カリスを連れていることから、付けられた名である。
トルカス
王都にて昔から親しまれているボードゲームのこと。表が白、裏が黒の円形の平たい駒と、縦横八マス=合計六十四マスの盤を使う。陣取り合戦という意味を持つ。
盤のうえで、黒白交互に駒を盤に打ち、相手の駒を自分の駒で挟んで奪っていく。駒が盤面の六十四マスを全て埋め尽くすか、打つ場所が両者ともなくなるか、盤面がどちらかの石一色になった時点で、勝敗が決まる。
〈神護ノ十剣〉
トウィンガル・ラン・アルダン。要人警護を主に担う、政ノ大臣直属の組織。幾つかの特権と生活の保障を、王制から与えられている。
「上官の命令は絶対」という暗黙の了解があるため、どいつもこいつも上官であるパヴァルに振り回されている。
な行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
宵闇の女神《幻影》
ノクス。〈天界〉と〈下界〉の狭間、ドゥヌンに坐する存在。始まりの夜の起源、明るく照らされ続けていた世界で休めないでいた生命に、暗い闇ではなく優しい夜の夕闇をもたらしたとされる。……要するに、夜闇を神格化させたものである。
計算高い性格であったとされ、対の関係にある《光帝》を掌で転がし、昼と夜の概念を創ったとされている。また後世においては「オブリルトレの女王」との同一視が進み、派生して「銀色で紫色の悪魔」というものが誕生し、嫌われる存在になってしまった。
隠密
ノクス。隠密を指す隠語。闇に紛れる者から、転じてこう呼ばれるようになった。
現在では「烏の黒羽」という呼び方が主流になっている。
は行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
《神託ノ地》
ヴァルチケィア。神国の中心地に存在する砂漠。かつて神祖《光帝》がこの場所に降り立ったから、との理由から現在では「神託の地」と呼ばれている。
しかし、この場所をソロゥラム族は「凶牙の地: ヴァッル・ティ・ケィアナ Vallu thi ke'yiana 」と呼んでいるとか。
水の女神《霊水》
ヴィテナ。〈天界〉のラクリマに坐する存在。始まりの水の起源、樹海しかなかった〈下界〉に水をもたらし、川と湖を創り、そこから生命を生み、育んだとされる。……要するに、水を神格化させたものである。
慈悲深い性格であったとされている。自由気ままに暴れ回る風の女神《息吹》とは相性が悪く、意見の相違から度々もめていたらしい。
鷹紙飛ばし
ファラ・シャ・ルグ。鷹を使って、遠い場所へ文を飛ばす技術のこと。ラムレイルグ族に伝わる伝統技。
鳩よりも早く文を届けられることが利点である。ただし、鷹の調教の難易度が高いこともあって、これを行える鷹匠および鷹はラムレイルグ族にも多くはいない。
ま行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
政ノ大臣
カム・デイグ・ダウィトン・ガ、省略形はデイ・ダグ。四大臣を統括する宰相のこと。シアル第一分家当主が拝命することが慣例とされている。
皇たる《光帝》の右腕となり、国政を補佐する者……――とされていたのだが、現在では《光帝》に代わって国政を司る者となりつつある。
や行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
ら行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
暮ノ戦記
ラゴン・ラ・ゲルテ。サラネム山にのみ残っている歴史書。神代の時代に起こった「白金戦争」を、史実に忠実に書き残した叙事詩。
史実に忠実であるが故、シアルの女王シサカが「手段を選ばぬ野蛮人。ソロゥラム族の家畜を強奪し、それらをダシにしてソロゥラム族を強引に従えた無法者」という正しい姿で描かれていることから、王都ブルサヌを始めとしたシアル王家の支配を受ける地域ではその叙事詩の存在は葬られてしまった模様。
またこの叙事詩の中には「朝ぼらけの詩: ゲルテアラ・ラー・モリアラ Geltearra - Morialla」という不穏な詩が残されている。
ラムレイルグ族
サラネム山の麓に住まう狩猟部族。別名は「鷹狩りの一族」。サラネム山の門番のような役目も果たしていて、不躾な侵入者を追い返したり、友好を求める隊商に対応したりしている。また、砂漠で行き倒れていた吟遊詩人を拾い、助けることも偶にあったりするらしい。
神代の時代にはソロゥラム族のように、砂漠にて鷹と共に暮らしていた部族であったのだが。北アルヴィヌの台頭により砂漠を追われ、山へと逃げたという過去を持つ。そこでラムレイルグ族を受け入れてくれたオブリルトレ王家に、以後忠誠を誓い続けている。
現在は鷹だけでなく山犬や山獅子といった大型肉食獣の調教も行っており、それら動物たちと共生している。
レデタッド
レデタという草から作られる麻薬のこと。主にレデタの葉を乾燥させたものを指している。
王都ブルサヌの貧困層や、南アルヴィヌ地域で蔓延しており、王制はその対応に苦心している。
わ行
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |