作品一覧
「カラーイラスト表紙版」と「モノクロ・シンプル表紙版」の二種類を用意しております。
が、表紙の仕様と値段が異なるだけで、内容に差はありません。
お好みのほうをお選びくださいませ。
【2022/06/10追記】販売先の価格改定に伴い、価格が上昇しました。悪しからずご了承くださいませ。
近世の中央アジア~東欧あたりを模した世界観を持つ、架空の世界「シアルン神国」。歴代最悪の女帝とも呼ばれたシェリラの崩御を機に巻き起こる皇位継承の混乱の裏側で、幾つもの思惑が交錯する。
皇位の座を巡って巻き起こる、シアル王家内の混乱。水面下で続く、保守的な貴族と改革を進めたい現政権の睨み合い。宰相である父と、王家を離脱した娘の確執。多くの謎を残したまま、忘れられていく殺人事件。神術という不可思議な力。砂漠に在りし王都の自由な民と、豊かな山に住まう偏狭な民の対立。そして山に眠る「神代の戦記」と、歴史に忘れられた「オブリルトレの女王」という存在。
……これらは「神ノ禍」という物語を構成する要素ですが、しかし、これらは本当に「この物語の本筋」なのでしょうか?
さて。この文面を見ている“あなた”は、どう思われますか?
①箱庭の序幕
「そんな単純なことも分からねぇのか?」
悪魔憑きの子を狩る祭り。そこから全てが、始まった……――。
炎の女神《業火》の祝福を受け、〈炎ノ聖獣使い〉となってしまったフリアは、来訪した使者によってひとり王都へと連れて行かれる。
突然の事態に戸惑う彼女をそこで待ち受けていたのは、変人の巣窟こと近衛兵団〈神護ノ十剣〉の隊員たちと、他の〈聖獣使い〉たちだった……―?
個性豊かな人物たちに翻弄される彼女を余所に、裏で物語は動く。官民の全てを巻き込む、古の神話の再現劇は静かに胎動を始めていた。
世界は一体どこへ向かうのか。それは誰にも、予測できない。
- 序章:聖獣使い
- 赤イ目ノ子
- 神護ノ十剣
- 猛獣、クルスム
- 神速のリュン
- 第一章:箱庭の夜
- グロウィンの調べ
- 待ち人来たらず
- 第二章:放蕩の燕、獅子を追う
- 雀と燕
- 気儘な獅子
- 龍神カリス
- 招かれざる客
- 第三章:紅の華、夜半に咲き誇る
- 悩めよ男
- 学べよ少女
- 愚鈍な男
- 明察な女
- 第四章:ギャランハルダの踊り子
- 酒場の乱舞姫
- 立てば芍薬
- 座れば牡丹
- 踊り狂えば旋風
- 第五章:神なる血脈
- 鼠
- 幼子の背中
- 猛獣、四体
- 選択
②疑惑の錯綜
「過去無き世界に、未来はない」
母となったフリアは、息子ルドウィルを連れて十五年振りに生まれ故郷サイラン自治領へと帰郷する。そして時を同じくして王都ブルサヌでは、一つの悲劇が起きていた。
その事件を機に明るみに出たのは、長らくサラネムに封印されていた、二つの王家の確執の記録「暮ノ戦記」。その一部が公にされたことにより、王宮の内外では不穏な動きが広まり、嵐が訪れる兆しを見せていた。
そんな中、成長したルドウィルは「暮ノ戦記」を読み解く。その中に描かれていたものに、彼は戦慄した。
そして訪れる《光帝》継承の儀。舞台の上に立つのは二人の偶像。彼女らが描き出す未来は、一体……――?
- 幕間:〈大神術師〉の夢
- 第六章:帰す者、来たる者
- 帰郷
- 母
- 父
- 来訪者
- 傷
- 第七章:炎の申し子
- 燕の憂鬱
- 山犬となれ
- 紫の首巻
- 炎の祝福
- 藪を叩いて蛇を出す
- 第八章:独眼ノ水龍
- 北アルヴィヌの一匹狼
- 暗きに踊る
- 龍憑きの男
- 禁忌の門
- 第九章:継承ノ儀
- シエングランゲラ
- 銀の髪の女王
- 金の髪の女王
- 継承ノ儀
- 解かれし封印
③源泉の回顧
「すっとぼけても私には通用しませんよ」
オブリルトレの女王は潰えた。人質に取られた妹イゼルナを守るため、皇位簒奪者を演じるリストリアンスは魔の手に落ち、反セィダルヤード派であるシエングランゲラと諸侯らに身も心も支配されていく。
そしてリストリアンスが発令したのは宣戦布告。山ノ民と、《神託ノ地》で相見えよう。その一言からシアルン神国は揺らぎを見せ始める。
――その混乱の中でクルスムは、ただ真実を追い求めてひた走る。表も裏も、今も過去も、人も神も、嘘も真も、夢も現も。その断片を知り得たクルスムに、全てを知る者たちは問う。協力してくれないか、と。
真実を掴んだクルスムが選ぶ未来とは?
- 幕間:贖いの水龍、罪を繕う
- 第十章:湖の白烏
- 水面に落ちる影
- ラント
- 神剣〈畏怖〉
- レーニン
- 第十一章:猛獣の覚悟
- 貴婦人、過去を解く
- その龍神、善を問う
- 第十二章:山犬の咆哮
- 亡霊、漂い彷徨う
- 散る華、炎の如し
- 白羽の烏
- 弔いの咆哮
- 第十三章:忌み子
- 病魔
- 火種
- 転生
- 血路
- 第十四章:回る天に、慟き哭け
- キアノ
- 逃避行
- 蹂躙する影
- 静寂の轟音
- 宣戦布告
④白への融解
「オレは、オレはそんなの嫌だよ!」
宵の明星は落ち、明けの明星は昇る。だがどちらも同じ“星”であることに、変わりはない。
山の軍勢と、シエングランゲラ率いる神国軍が《神託ノ地》で相見える刻。赤い瞳の悪魔の嗤い声を皮切りに、獣たちは咆哮を上げ、十の武神は戦地に踊り、紅い竜巻は巻き起こる。
だが一人、ルドウィルだけは銀輪の筆記者に導かれ、オブリルトレでもシアルでもない、別の“何か”を見ていた。
《神託ノ地》。そこでは神話も神格も裏切られ、果てには人の全ても裏切られる。
二つの軍勢がぶつかり合うその先に、何が残るのか。それは“神”だけが、知っている。
- 幕間:東雲に鳴く鷹
- 第十五章:輝きは此処に無く
- 悪夢に囚われ、震えて眠れ
- 然れども此処に、我は在り
- 穢れた華の、香に溺れ
- 影は追い、怨嗟は縛りて姿を呑む
- 蛇は誘い、陽は潰えて昏に堕つ
- 無垢なる百合は、其処にて眠る
- 第十六章:胡蝶の夢
- 筆記者の導き
- 修羅の目にも涙
- 竜の威を借る狼
- 第十七章:天翔ける白き翼
- 神の落とし子
- 涕泣の隼
- 戦天翔ける災禍
- 白百合は嘘に彩られ
- 異界と融合せし刻
- 終章:to begin